前回の嘘をつくことに関連してです。

 自分の昔話です。重たくなってしまいます。

数年前に私が担任をしていた学年の同窓会があった。私は遠方であったので、お便りと写真だけで、申し訳なかったが参加できなかった。

 その同窓会の後に、幹事さんが集合写真を送ってくれてそれを見たら、青年中年になったAが、写っていた。う~ん、相当苦労しているような顔をしているなあ。

           

 少年Aは、教員時代に唯一私から逃げきった子だった。当時の私はしつこかった。ある面、親よりも‥。

 当時のクラスは今から思うと崩壊学級だった。3年間クラス替えがないところに私だけが担任交代で2年生から入った。当時、女子は能力が高い子が多いが、教師への不信感で全く言うことを聞かない子が多く、男子は無気力な子や、あきらめの個人主義の子が多かった。

その後の歴史があって、一年後の4月修学旅行のときには全く雰囲気の違ったクラスになった。その学校は修学旅行は、クラスのなかでさらに班分けをして、その班ごとに事前にすべて計画をたてて、それぞれ京都、奈良の好きな場所をまわるという、今考えても先進的なことをしていました。そのころには、自分たちで班づくりをして、孤立しがちな子をどうするかを放課後遅くまで班長が集まり知恵を練るほどになっていました。

修学旅行の当日、奈良公園でこっそりと見守っている私を見つけて『組長~!』と人懐っこく駆け寄ってきてくれたのが少年Aでした。         

 また勉強嫌いな少年Aでもありました。2年生のときは、親御さんから勉強しなくて困っていると連絡を受け、家庭訪問をしました。親御さんには、勉強しろと今言うのではなくて、学習習慣は生活習慣の上に成り立っているので‥まず生活習慣をと間に入って親御さんにも考えてもらうように言った記憶があります。

 当時私は自惚れていました。各クラス不登校生が多いその学校で私のクラスだけが不登校生がいない。うまくいっているのだと‥。まだ自分があったんですね。

今では良い意味でさめています。

今では、自分が子たちにどう思われても良いと思っています。 

今は自分にできることは何かを分析し、それをやるのみだと思えます。     

 進路が迫ってきた時期に少年Aは家出をしました。新聞配達のバイトをしてそこで知り合った有職少年のグループに入ったようです。学校にも来なくなりました。

 私は何とか彼に会って話がしたい。何とかしてやりたいの一心でした。彼の家に泊まりこんで彼が帰ってくるのを待っていたこともあります。

そのときに、彼の兄(有職少年とつながりがある)を通じて親に彼が言ったことは『今回、親や担任の私が何も言わなかったら、家に帰ってもよい』という条件でした。

私は絶対反対でしたが、親に『先生今回だけはたえてくれ』と言われました。そしてそれから夜こっそりとぬけだして遊び歩くなどエスカレートしていきました。

当時学校にも来ない彼の家に家庭訪問をしたときに、家の裏口の引き戸をあけた瞬間に

防犯ブザーがビーと鳴って驚きました。彼の親ごさんもそれくらい夜ぬけだす彼に苦労させられていたのだと思います。

 クラスのなかで彼をどうやってむかえるかを考えたり話し合いをしました。そうすることは校長先生も教頭先生も反対でした。やんわりと釘を差されました。今考えるとわかります。それをやって一番傷つくのは、いい気になっている私かもしれません。それでつぶれていく先生をたぶん何人も見てきたのでしょう。

 その後一度彼が学校に来たことがありました。そのときに彼と話し合い、最後は泣き落しで学校に来てくれと懇願しました。それでも彼は来なかった。

 土曜日部活動が終わってから、いったん帰り、その後全員集まってクラスで話し合いをしました。そのなかである女の子が言った言葉『彼は嘘をつくから‥』言ってから、あ、まずいと私の顔を見ました。みんながわかっていて、私があまりわかっていないことが、嘘つきということだったのだと思います。

 とうとう彼は、親に『学校には行っている。だけど担任の私が嫌いだから朝と帰りの学活には出ていない』と嘘を言い出しました。その嘘に加担したのが、彼の家に給食等を届けていた私のクラスの数名の子でした。

 当時の私は裏切られたという気持ちに正直なりました。

嘘つきは、本当に親身になろうとする人を遠ざけます。嘘をつけば、自分のまわりに残る人は自分を利用しようとする人ばかりになる。

 彼は高校受験をせずに、職業訓練校を受験すると言って親をだまし、受験前日にまた家出をして受験せず。そのころには有職少年たちは彼を下っ端として扱いだして彼にとっては苦労な状態だったそうです。それから逃げるため、遊ぶための遠くにある職業訓練校受験だったようです。しかしそれも一週間に一回の実家帰りを強制されることがわかり、それからも逃げだしたようです。

 その後、彼は卒業式には出ずに校長室で、学校長、親御さん、私で本人に卒業証書を渡すのみ。たった5分間の卒業式でした。学生服も着てこない彼を、校長先生はいいから、もうやっちまおうと私に言いました。

 

20年後の、その同窓会で、少年Aは他の人に言っていたそうです。

『先生が昔、自分の家に来てくれて、泊りこんでくれたんだ』と。  

それを幹事からの手紙で知って、私はどう感じたか。

正直もう彼のことはどうでもいい。できるだけ現場ではつきあいたくない。自分がある面冷めて、変わってしまった私は、20年経ってもその気持です。

 嘘をつく。今は‥小学生はある程度つきあえますが、中学生以上で上のような嘘は‥

まずお金をもらいたくない‥自営になった今、正直私は全力でそういう人から逃げるかもしれません。       

         

 乱筆すみません。